数回深呼吸した後、おぼつかないながらも幸福は外に向かって歩きだした。


「止めなさいよ!?倒れるの、目に見えてるじゃない!?」

「…余計な世話だ」


「強情張るのもいいけど、現状考えて。そんなんで、もし闇風に遭った時どうするの?」


「…………」


無言のところを見ると、何も対抗策は無いのだろう。


それでも幸福は出ようとした。
思わず桐の口からため息が洩れた。


「あなた強情にも程があるわ……」


扱いが難しい子供を相手にしているみたいだ。



「…ねぇ幸福、あなたにとって運命って、何者?はぐらかさないで答えて」


幸福は立ち止まり、首だけで振り返った。


「倉崎桐。お前、馬鹿だろ」


嘲笑めいた声にムッとしたが、耐える。

「あなたに比べたら、ね。ちゃんと答えてくれないから、同じ事を何回も聞いてるんじゃない」


「それが馬鹿だって言ってる」

「……え?」