ゴーストオブアイデンティティー

「あぁったく…酒が足りねぇ!カズキィ!!もっとさ…け…」

手を上げたままリヒャルトは倒れ、イビキをかきはじめた。


「おやすみなさいリヒャルト」

手を振る私に、和樹は苦笑いをした。

「リヒャルトさん、明日頭痛ですよ。薬なんかもられちゃたまんないや」

「この人には良い薬だよ。完全にアル中じゃないか」

「まあ、そうですけどね」

「どっちかっていうと、君の方が私よりたちが悪いね。酔ってなかったろう?」

「そんなこたないですよ。こんだけ飲めば、もう頭フラフラに」

「なってないのは君だけさ。スコッチウイスキーは和樹、君の好物だろう?なのに手は着けなかった。それが理由。どうした?何か私に言いたい事でもあるのかい?愛の告白なら喜び勇んで受け入れよう」

相変わらず、和樹は嘘が下手だ。分からないのは、泥酔したリヒャルトくらいだろう。




「質問が、あるんです」


「………ほう?」

酒でふやけた空気から一転、真面目な顔で私に告げた。