世界には裏がある。

表側があるなら、裏側があって当然の事。


そして表側の人間だとしても、裏側に関わる、若しくは見る事は多々。頻繁と断言しても、それは過言にはならないだろう。


しかし。


裏側の人間は、何があっても表側に立つ事は無い。

そう。


「何があっても……か」


面白くなさそうに、ロッキングチェアに身を預ける男。

歳は20代後半といったところだろうか。


実際は誰も彼の歳を知らない。

それ以前に、誰も彼の歳を気にしない。知ったところで、何の意味も無いからだ。