とある、町外れの廃屋の、地下室。

薄暗い蛍光灯が、ぼんやりと視界を照らしている。


異様な部屋だった。

広さにして二十畳程の部屋が入り口付近以外、全て畳に埋め尽くされている。

畳に、座椅子、押入れに、敷き布団。

何より目立つのが、大きな、大人の背丈より高いであろう、柱型のアナログ時計。

螺巻き式の、戦前の古さを醸し出す時計。

コチリ、コチリと、ひたすら正確に時を刻む。


この部屋が一昔、二昔前の、古くさい、よく言えば懐かしい雰囲気に包まれている。



その、部屋の中央に敷き布団が敷かれ、


桐が、横になっていた。

かすかに寝息が聞こえる。
穏やかで、安らいでいる。