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何とか、間に合ったらしい。
幸福はコートに刺さった硝子の破片を払い落としながら、ドアの隅で震えている桐に視線を向ける。
「倉崎、桐」
反応はした。が、目の焦点は合っていない。虚ろで、幸福が見えているのかすら微妙だった。
荒療治だが、幸福は呆然とする桐の頬を少し強めに叩いた。
「ひっ…痛…い……」
痛みの刺激で、桐の目に、弱々しいながらも力が戻った。
「…聞こえているか、倉崎桐」
「……え?………座敷…………幸………福?え?どうして?」
桐は突然の事に混乱していた。
わからなくもないが。
「落ち着け、倉崎桐。聞きたい事がある」
「アイツは、何処だ?」
幸福は続け様にそういうつもりだった。
だった。
が―――――――



