やはり儚を幸福が覚醒する前に遠ざけるべきであった。

殺す時を間違えたか。


…………………。


否。

未だ遅くない。
亡霊を処分する。

幸福が情をかけすぎる前に消さねばなるまい。

そうだ。しかもあの亡霊は恐ろしい。幸福を、殺すかもしれない。

とり憑かせず、処分せねば。


儚に似たあの亡霊、



生かし過ぎた…………………












十二月二十三日

座敷 古傷

…………………………………


三年前。

座敷幸福の父であり、座敷家当主の、座敷古傷(ふるきず)

最期の日記であった。