其の幸福に対する観念。間違っていない。正常だ。常に正しい。

正しい。

・・・・・
正しかった。


解せなかった。何故、幸福が人間の偽作と戯れるのか。

偽作とは、亡霊の事だ。

塵にも満たない存在価値を、どうしてそこまで死守するのか。


常日頃の幸福を見ていた者としては、非常に不快極まりない。

人として終わった下郎、触れるだけで穢れる下郎、我慢出来ない。

幸福が生まれて十六の年月が経ち、ずっと観察を続けてきた。

この様な苛立ちは初めてだ。
此の粘り着く怨は何処に向ければ良いか。知る者は無い。


弱きモノを掃いて棄て、強きモノを壊して潰せ。
御前が世界を征してみろ―――


此の教えが、浸透しなかったのか。

何故存在すらか弱き亡霊に情をかけるか。
解せない………