暗忌 運命(くらき さだめ)は、忌み子である。


何が故に忌み子かは、誰も語らない。ただ、知らなかったのかもしれない。


しかし、だから運命は嫌われた。


人間、誰しも生の不明な輩に好き好んで近寄るような真似はしないものだ。


だから、不明な輩である運命は嫌われた。


忌み子であるが故に全てが嫌われ、男か女かも気にされずに生かされてきた。


十二の頃に血が流れ、ようやく女であるというのを周りが理解したのは、つい最近の事のように思える。


当の本人でさえ気付かなかった事を、どうして他者が知れよう、と野次るやつもいるが、それは愚直だ。


男女の概念すら教えられず、人の概念さえも危うい輩に、何を望んでいるのだろうか。


愚直も愚直。愚の骨頂である。