「結論から言う。あのディーラーはある女子の執事だ。」
急いでこの部屋まできた俺を待っていたのは少し冷めた紅茶と白山のこの言葉だった。
走ってきたため渇いた喉に紅茶の渋みが少ししみて、俺は顔をしかめながら口を開いた。
「……女子?」
「そう、女子。しかも特に目立つこともないような子だな。
テストの点数は中の中の上ぐらい。
旧家の出とかじゃないが父親が最近軌道に乗り始めた会社の社長でなかなか金持ち。
友達は………いない。
周りに聞いてみると、軌道に乗り始めた会社の社長令嬢ってことをよく口に出してて、少し高飛車だったらしい。
まぁ、おそらく旧家の出とかで金持ちなやつとかに少し嫉妬とかしてたんだろうな。
で、なぜか彼女に敬語を使わない執事がずっと傍にいて、その執事とデキてるとかいろんな噂が流れてたらしい。
名前は………相原百合香。
執事の名前が越前誠。」
相原……?越前…………?
その名前が頭の片隅の記憶にひっかかる。
つい最近見たような名前なんだが…………
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