「ねぇ………本当に嘘ついてないんだよね……?」
わざと耳元で言うと相手は怯えと期待に混じった声で答えた。
「は……はい……
嘘なんてついてませっ……!!」
言葉を最後まで聞く前に耳をペロッと舐めてみると相手はとろんと融けたような瞳になり、まるで恋人との甘い一時を過ごしているような顔をした。
あまりにもすぐに思い通りになって拍子が抜ける。
こんな悪ふざけにも飽きてきた俺はちょっと甘くなってきたこの空気を一気に凍てつかせた。
「……あはははは………はい。もう、おふざけは終了。
で…………工藤優花をどこに連れてったんだ?」
その瞬間今まで熱に浮かされていたようになっていたそいつの表情が一気に凍った。
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