全速力でエスカレーターを登り、目的地の階で急いで息を落ち着ける。
そしてちょっとにやけそうな口を頑張って隠しながら右から三番目のドアを開いた。
その俺の目にうつったのは、今俺が無性に逢いたいやつではなく、まわりのどうでもいいクラスメイトと俺の席でただひたすらに湯気をあげる紅茶だった。
少しがっくりしたのをまわりの悟られないようにしながら俺は自分の席へと急ぎ、紅茶を一口すすった。
冷たい身体に温かい紅茶がすーっとしみ込んだ。
そして今更ながら思う。
なんであいつここにいないんだ……?
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