姫取物語

「だ……大丈夫だもん! 何回でも来て大丈夫だもん! 迷惑じゃないもんっ!」

「もう……雅さんったら」

先程納得してくれたはずなのに、まだ美麗を必死に引き留めようとするかぐやに美麗は困ったように眉を寄せる。

「雅は我が儘言わないの。美麗さんにも智隼さんにも予定があるでしょ?」

「でもぉ……」

「雅には俺が居るでしょ?」

「むぅ……」

「むぅ、じゃない。むぅ、じゃ。そこは、うん! って頷くところ」

「え」

「何でよ」

まるで漫才のようなやり取りをする二人を美麗は口元を袖で押さえながらくすくすと笑う。

「何で?!」

「ごめんなさい、あまりに可笑しかったものですから……」