『あっ…あのね何て言うか源太もてるのに…あの…』

『何怪しい喋りになってんの?マジうける(笑)気使う仲でもねーだろ!お前の性格知ってるけん』


『…ごめん…ね』

私は何も言えなかった。

源太の彼女は美樹ちゃんという名前で二歳年下で小さくて色白で目がぱっちりして羨ましいくらいお似合いのカップルだった。何度か職場に差し入れしてくれたから皆知っていた。

源太が運転に人一倍慎重なのも彼女が事故死してからだった。

遠距離とまでは言えないが彼女は車で2時間近くかかる場所に住んでいて看護師だった彼女は急に休みが変更になり源太を驚かせようと、こっちに向かっている途中だった。居眠り運転をしていたトラックが対向車線をはみ出し彼女の車と正面衝突した。加害者側は軽傷だったが彼女は即死だった。

ドライバーの身勝手な行為で罪のない人が命を奪われる。走る凶器だ。この凶器によって彼女は全てを失った。それが六年前の今日だった。


『俺は美樹を忘れられないんじゃない。今でも美樹を殺した奴は許せねーけどそんなことしても美樹は帰ってこねーし…あいつはそんなことしても喜ばねーと思うしな…』


源太って本当に強い人間なんだね…。
偉いよ…
私とは大違いや。