夢〜明日への奇跡〜(実話)

和実も照れながら用意されていたグレーのタキシードに着替えた。
本当によく似合っていて
素敵だった。
私は更に惚れなおした。


『新郎、新婦さんあと10分ほどで会場に入りますからね』

ウエディングプランナーの人が呼びにきた。


『麗奈さん…』

和実のお母さんが部屋に入ってきた。

『麗奈さん…本当に綺麗よ似合ってるわ。ねぇ和実。あんたには、もったいないくらい綺麗な花嫁さんね』
『もったいないは余計だよ。美男美女と言ってくれよ(笑)』

『あなた達にあと一人紹介したい人がいるのよ』

笑っていた お母さんが急に真面目な顔をして
ドアの方に視線をやった。

『和実…すまなかったよ許してくれないか』

『親父…』

そこには10年前別れて以来 会ったことないと言っていた和実のお父さんが涙を流し膝まずいていた。


『今更何しに来たんだよ!よく顔が出せたな!お前のせいで俺らは散々苦労させられたよ!帰れよ!』

お父さんさんは何も言えないまま ひたすら謝っていた。

『和実…もう許してあげて今こうやって来てくれたじゃない。私にとっても、お父さんなんだから』

『麗奈さん…こんなに綺麗な方がお嫁さんに来てくれたなんて夢のようです。私は情けない父親でした。和実が怒るのも当然です。和実にきちんと謝りたかった。それに一目二人の晴れ姿が見たくて…もう充分です。安心しました。私はこれで帰ります。麗奈さん和実を頼みます』

お父さんは両手で私の手を強く握り 去ろうとした。