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「ねぇ、しないの?」

スーツを脱ぎながらゆっくり振り向く彼は、窓からのライトに照らされて更に整って見えた。

「そういうの、楽しい?」

「え?」

シュッと音を立ててネクタイを外す。

「君とじゃ全然そういう気分になれない。」

ショックだった。
そんな事言われたのは初めてだった。

「………なんで?」

恐る恐る聞くと、少し笑った。

「なんで?
…私なんてどうでもいいって顔してる。」

ズキ、と胸が痛んだ。
図星だ。

「俺はただ、酔っ払ってあんなフラフラしてたら危ないと思って連れてきただけ。
ちょっと頭を冷やしたらどうだ?」


「そんなの…関係ないでしょ、大きなお世話。
好きな事してるだけ。」

「関係ないな。
だからもう寝ろ」

バサッと上着を脱いで浴室に消えた。

静かな部屋に1人でいるのが寂しくて、テレビを付けて気を紛らわせた。
鞄の中で光る携帯を取り出して見ると、名前を見ても分からないような男の名前が並ぶだけの着信履歴にため息が出た。