「さくら、さぁ行こうか」

さくらがコタと遊ぶのを止めて、お座りのカッコで尻尾をフリフリしながら、彼の事を見上げる。

優しい眼差しでさくらを見つめる彼。

私が犬になりたいです。犬になって彼を見上げたい。見つめ合いたい。

私は彼とさくらをぼーっと見ていた。

「じゃ! コタちゃんまたね!」 彼はさくらのリードをピッと引っ張ると私の横を通り過ぎた。

私はまだドキドキしてる。

あなたは知らない。

私がこんなにも毎朝を楽しみにしてる事も。

こんなにもあなたの呼ぶ"さくら"に胸がキュンとしてる事も。

私の名前も呼んで欲しい。その甘い声で。

だって私の名前も、
"桜"だから…。