「で、オレも自己紹介していい?」

そうだ。私は彼の名前を知らないんだ。

「今更なんだけどね」

「良のアニキで、オレ幸太(コウタ)って言うんだ。 23才。会社員1年生」

「実は桜ちゃんが"コタ"て呼ぶ度にドキドキしてたりして」

へへ…
と、照れて笑う顔は年上なのにかわいい。

「私も幸太さんが。"さくら"て呼ぶたびに、ずっと私の名前も呼んで欲しいと思ってたの」

幸太さんは顔を赤くしながら、

「かわいい事、言ってくれるね」 と言って、

私をギュッと抱きしめた。

私の顔をうずめた大きな胸は、彼の匂いがふぁっと香って、ドキドキ感とそして安心感をもたらした。