ふと紫乃を見ると、子犬のような目で私を見つめていた。

飼い主を心配するような子犬の目で。





「...何?いきなり。笑」
そんな表情がおかしくて、少し笑ってしまった。



「え、だってなんか深刻そうな顔してたから...なんか進路で悩んでるのかと思って...」





伏し目がちに声を出す子犬。
秋の風が彼女のベリーショートの髪をふんわりと靡かせる。





本当に紫乃はいい子。






改めてそう思ったが、なんだか照れ臭くなりわざと紫乃から目を逸らす。



「そういう紫乃はどうなの?」




子犬に尋ねた。