MEMORIAL ADRESS

「沙羅ちゃんは、ここら辺の子なの??」



座らされた席は日向子の隣だった。

普通に話したいのに、普通に言葉が出て来ない。

黙りこんでいると



「昔…一度沙羅ちゃんと同じ地獄太夫の刺青を背中に背負いこんでる女の子に出会った事があるよ」



日向子が話を変えた。



「そうなんですか…???」



同じ刺青を背負いこんでいる人がいるなんて、今日初めて聞いた。

慈母観音や大蛇ならたくさんいるだろうが、地獄太夫は聞いた事がなかった。



「ここにいる男の子たちの中にも刺青がある子が何人かいるよ」



チラリと視線をあげる。



「気を使わなくていいの。ここにいる男の子たち皆…世間に省かれて背中を向けた子たちだからね。」



アウトロー…

とてもそうには見えない。

施設に入っているとだけ聞けば、もっともっと擦れているのだと想像してしまう。

だけど目の前にいる男たちは皆笑顔で綺麗な瞳を持っている。



「沙羅ちゃん」



日向子の方に向きなおると、日向子は真剣な目をして沙羅を見ていた。



「やり直しなさい」

「え??」

「やり直せる。道を…修正しなさい。」