本城さんは、何日かに一回、かすみ草を持ってきてくれる。


仕事帰りで、寒い中わざわざ寄ってくれる。


そして、面会時間が終了する頃に帰っていく。


いつもギリギリに来てくれて、少し話をして別れる。


もっと話したいけれど、本城さんの仕事、忙しそうだから言わない。



本城さんと二人の室内。


……なぜか、心地好くて。


落ち着いて。



毎日来てくれたらいいのに……そう思う反面、

迷惑だから絶対に言えないと思う。

でも、いつまでも定期的に来てくれるとは限らない。


いつ彼女がここに来てくれるのを止めるか……。


だから、つい聞いてしまった。


「今度はいつこれそう?」


と。


聞けば、もしこれが最後だと思って来てても、次また来てくれるだろ?


『もう来ない』なんて言えないだろうし。


本城さんは優しいから。


会話や仕草から性格が垣間見える。



意地悪かもしれないけど、来て欲しいから。



「えーっと……土曜日…かな?」

少し考え込んでから言った彼女の日付に、カレンダーを見る。


やっぱり、毎日は忙しそうだし難しいよな。