取り敢えず、大体の状況は理解出来た。
頭の中で聞いたことを整理していた時、やっと泣いていた女の人が俺に対して口を開いた。
『ごめんなさい、私のせいで……』
そう言って涙を流しながら謝るレイコさん。
『……大丈夫ですよ、俺記憶は微妙だけど体は打っただけでどこも異常無いみたいですし、気にしないで下さい』
そう言っても、『本当にごめんなさい…』を何回も繰り返すレイコさん。
そんな、泣く事ないのに。
……正直、自分一人で足を滑らせて落ちた、じゃなくて良かったって思ってるし。
酔っ払って、勝手に階段から滑り落ちたなんてヘマは嫌だ。
『レイコさん……は、どこも怪我して無いですか?』
『……えぇ。城戸君のお陰で。本当にごめんなさい』
また泣きそうになるレイコさんに、俺は笑顔を向けた。
とにかく、俺が庇った人が無事で良かった。
上司らしいし。