少し分かってきたかも。


ズキズキと一番痛む後頭部に手のひらを当てる。


と、元々の頭の形では無く明らかに違和感。


周りを触って直接違和感のある場所を触ればまた痛み。



腫れてる……?


『そうだよ、覚えてないのか?』

覚えて?何を?



それより、


『……あんた、誰?』


取り敢えず、さっきからベラベラと話し掛けてくる男に問い掛ける。


誰だよ。


そして、今の自分が発した言葉で俺もハッとした。



俺って……誰?


名前、は?


俺、何歳だ?


真っ暗な中目覚めたと思えば、頭は真っ白で。


……何も、分からない。


『は……嘘だろ』


目を見張りながら声を溢す男。


その後ろで女性は更に声を上げて泣き始めた。



嘘じゃない。



けど……その男は衝撃を受けているようだった。


俺自身が分からない。


必死に頭の中で探ろうとしても、どうしようも出来なくて。



その後直ぐに来た医者にいろいろ質問されたけど

情けないくらいに何一つ答えられなくて。


『分かりません』と言うしかできなかった。



困った、だけどどこか予想していたような顔をする医者に、

逆に俺がどうしてこんな所にいるのかを聞いた。