今まで、寝てた?



『……何?』


眉を歪めてその男を見返す。


ってか……誰?


俺のゆっくり絞りだした声を聞いて、あからさまに不機嫌そうな顔になる目の前の男。


『何って……何じゃないだろ?お前が病院に運ばれたって言うから急いで来たのに……』


病院?

運ばれた?



話を聞きながらとりあえず体を起こそうと腕を動かしベットを押し返すように上体を起き上がらせる。


「ってぇ……」


勢い良く、全身に予想していなかった激痛。


慌てて横にいた男が肩を支えてくれた。


だけど、それも痛くて。


更に顔を歪めれば、男はすぐに枕を背後に置いて少しでも楽な体勢にしてくれた。


痛みが無くなって……部屋を見渡せば、白い壁に白いシーツ。



蛍光灯が、かなり眩しい。


そして、よく見れば、男の後ろに静かに涙を流しながら立っている女の人がいた。


……何で泣いてんの?


ハンカチで目元を押さえている女性。


俺と目が合えば、また涙が溢れてきて鼻を啜った。


『ここ……病院?』