「へ?」
「あるわよね。明らかに暇そうだし。ちょっとお話しましょう」
私の返事なんて聞く前に勝手に決めるレイコさん。
暇そうって……私、暇じゃないんですけど!
だけど、断る理由もない。
断ったら嫌みたらしく“逃げるの?”なんて言われちゃいそうだし。
エレベーターが開いたと同時に颯爽と歩きだすレイコさん。
その後ろを付いていく私。
レイコさんの後ろ姿を見ていると、悔しいけど勝てる気がしない。
ただ歩いているだけでもカッコいいんだ。
出来る女性の象徴、って感じで。
もちろん、涙の事なら負けるなんて思っていない。
これからレイコさんに何を言われても、私は涙を信じるのだから。
私は、ネックレスをギュッと握り締めた。
大丈夫。
何を言われても……。