だから、部屋へ戻った後心配そうに私を見上げる涙に言ったんだ。


『おはよう。城戸くんと同じ高校の同級生だった本城です』



距離も、私と涙が付き合う前に。










「良いです。私は、涙を信じてます」


「……そっか。レイコさん、手強そうだけどなー…波音ちゃんが泣きそうで心配だ」




苦笑いする雅臣さんに、私も堅い笑顔を向ける。




「なるべく泣かないようにします」




涙の事だと、何でも泣いちゃいそうになるんだけど。




「何かあったらいつでも俺に言ってな。もう、妹だって思ってるから」


「……はいっ」




泣かない。



絶対に。




胸に付けてあるプロポーズされた時に貰ったリングを握る。




貰ってから薬指に付けてたけれど、こうなってからはネックレスにしている。




もう一度、薬指に付ける事ができるように。