「……今日も行かれるんですか?」


深歩ちゃんは、あたしのネックレスを指差しながら聞く。



「……うん」


「仕事にお見舞いに、無理しないで下さいね」


「うん。ありがと」


「それじゃ、失礼します」



ニッコリ笑って帰っていく彼女の背中をしばらく見つめた後、パソコンの画面を見つめる。



……まだまだ資料は沢山あるのに。



ボーッとしたりして、時間が勿体ない。



それから30分、やっと一つの資料を全て目を通し終えた所で、あたしは腕を伸ばして後ろに反り返る。


「んーーっ!!やっと終わったー……」




机に置かれている資料は、あと2、3束あるけど。



今日はここまでにしよう。



パソコンの電源を切り、机の上をさっと片付けて会社を出た。







―――――――――



会社を出た瞬間、風があたしに当たって思わず身震いする。



「寒……」


日の落ちも早く、夜の寒さも厳しくなってきて冬になっている事を実感する。


あたしはなるべく体を暖めようと、早歩きで目的の場所へと向かった……。