「……本城さん?どうした?」



閉まったドアをまだ見つめていたら、涙が心配そうに聞いてくる。


「へ?」


「座れば?」




涙は、椅子へ座るよう促してくれるけど、それどころではない。





私の頭の中では、さっき言われた「ごめんなさいね?」って言葉とレイコさんがクスッと笑った表情が、何度もリピートされていた。




何が、ごめんなさいなの?




笑いながらそんな事を言って、本当にそう思ってるの?





悔しくて、胸が苦しい。




「ちょっと飲み物買ってくる!」




私は、涙の方を見ずにそう言って部屋を出た。





喉なんか乾いてない。




俯きながら、向かった場所は屋上のテラス。




人も少なく、殆ど誰も居ない中、端の方のテーブルに座り、突っ伏す。




口を閉じると、目からは待ってましたと言わんばかりの涙がポタポタと机に落ちた。