「感動しましたね……」
「うん。すごく感動した」
目が痛ーい、と鏡でチェックしている深歩ちゃんの横で、チケットを買った時に貰ったパンフレットをもう一度見る。
好きなのに、お互いの事を想って離れていく男女。
好きな人の事を考えて身を引くって言う気持ちが良く分かった。
結局は、ラストで無事結ばれたんだけど……そこまでの過程に感動してしまった。
「……会いたくなりました?」
「え?」
隣でパンフレットを覗き込んで来た深歩ちゃん。
きっと、涙の事を言ってるのだろう。
会いたい……なんて、毎日思ってる。
でも、私の事を覚えていない涙は、毎日行くと迷惑だって思うかもしれないから……。
「まぁ、ね」
あやふやな答えを堅い笑顔と共に返す。
「さて……と。解散しますかっ!」
「え!?深歩ちゃん?」
「私、これから用事があるんです。……先輩も、病院に行かれますよね?
ここからは解散って事で」
いきなりの深歩ちゃんの解散宣言に戸惑う。
確かに涙の所へお見舞いに行こうとは思っていたけれど、それは夕方の事で。
映画を見終わっただけで解散するなんて、思ってもいなかった。