「あー寒かった!」



書類を提出した帰りに、深歩ちゃんとランチをするためにイタリアンのお店へと入った。



店へと入った途端、暖かい空気が私達を包み込んでくれる。




コートを脱ぎながら深歩ちゃんが口を開き、私もホッとしながら頷く。



頼んだのは、深歩ちゃんが魚介類のパスタに私はカルボナーラ。




フォークを使って丁寧に巻き取っていると、深歩ちゃんが話を切り出してきた。



「先輩、明日お時間ありますか?」


「明日?無いけど……どうかしたの?」


「映画見に行きません?」





首を傾げた私に深歩ちゃんは、鞄から券を取出し一枚私に差し出してきた。




受け取って見てみると……恋愛映画。




「最近先輩ずっと残業で、息抜きしてないじゃないですか。
たまには遊びに行きましょうよ!」




そう言って盛り上げようとしてくれている深歩ちゃん。




息抜き……?



しようとなんて思わなかった。



何をしてても、涙の事ばかり考えて息抜きなんてできないから。



「ね、たまには行きましょうよ!」




深歩ちゃんは私の方に体を出しながら、私が返事をするのを待っている。



きっと、彼女なりに私を気遣ってくれているのだろう。