『――――波音(ハノン)』



私を呼ぶ、落ち着いた声。



あたしを見て、ニッコリ笑うその顔。



すべてが、とても愛しかった。








「……っぱい、先輩!!」



肩を叩かれ、あたしの思考は一気に現実へと引き戻される。



ビクッとした瞬間、


机の上に置いていた腕によって、横に置いていた資料の束がバサバサと音を立てて落ちた。




「あ……」