少し離れた場所からでも見える、イルミネーション。
その通りに連なる店も、クリスマスムードの装飾をしている為、かなり華やか。
走りながら、探すと……やっぱり。
いた。
足を止めて、上を見上げている、波音。
周りは、カップルばっかりの中、一人佇む波音は寂しいだろう。
早く行って、謝って、驚かせよう……と頬が緩みのを感じて、ゆっくりと近づく。
と、。
ツリーを見上げる波音の瞳から流れた、それに俺の緩んだ表情はすぐに固まった。
……泣いてる。
俺が、泣かせて。
申し訳なくて。
でも、俺の為に泣いてくれて、約束の場所にきちんと来てくれた波音が愛しくて。
愛しくて。
抱き締めたい、と思う。
人前でなんて絶対に無理だ、って今までは思っていたけど、今日はクリスマス。
周りは寄り添っている人達ばかり。
その中で少しくらい抱き締めていても、大して目立たないはず。
それに……“恥ずかしい”よりも、今は波音を“抱き締めたい”って気持ちの方が強いんだ。



