重たく、暗くなってしまった空気をかき消すように出来るだけ明るい声音で言った。



だけど、その言葉に本城さんが返してくれる事は無くて。




俺の声、聞こえたはず。



いや、2人だけの空間だから聞こえないはず無いのに。




本城さんは聞こえなかったかのように、いきなり自分の首の後ろへと両手を回した。




すぐにそれが何をする為の動作かは分かった。



……いつも付けているネックレス。




服に隠れて肝心の部分を見た事は無かったけれど、チェーンでネックレスを付けている事は知っていた。




でも、なぜ今ネックレスを外そうと……?




その動作に疑問を持ちながら見守る俺を視界に入れず、ネックレスを外した本城さん。


今まで見た事が無かったトップのデザインは……指輪?


その指輪を、チェーンから外し終えた本城さんは手の中の指輪を一瞥した後、やっと俺の方を向いてくれた。



「……これね、もう必要無くなったからあげる」


え?