「兄貴と一緒に……?」


「ううん、下でたまたま会ったの」



レイコさんは大人っぽい笑みを浮かべてこちらへと歩いてくる。



近づいて来た事で、香るレイコさんの香り。


高そうなブランドの匂い。



「これ……資料持ってきたんだけど、出来そう?」



レイコさんのバックから取り出された、USB。


「これを?」


「業者に頼んで集めてもらったアンケート資料が入ってるの。その回答を集計して簡単にまとめて貰いたいんだけど……」


「あ、大丈夫です。多分」



棚に置いたレイコさんが持ってきて貰ったノートパソコンを見る。

言えば、兄貴から「多分かよ」と煩い突っ込みが入った。


それを無視してUSBを見る。


レイコさんに、「仕事のやり方も忘れたかな?」と聞かれて俺のだと言うノートパソコンを持ってきて貰った。


正直、このパソコンの中に残っていたデータは何の為のものなのか全く分からなかったけれど


不思議とセキュリティロックのパスワードは覚えていた。