コンコン、


ドアが軽い音を響かせたのは、面会時間が始まって30分位経った頃。




「どうぞ」



自然に笑みが浮かんだ自分に気付きつつ、返事をする。



レールの上をドアが滑って、入ってきた人物“達”に、俺は少し。いや、かなりか。落胆した。



落胆した理由は、まだ分からないまま――――






「よう、涙」


「……なんだ、兄貴か」



紛らわしい。



「なんだってお前なぁ。せっかく休日だから見舞いに来てやったのに」


「それはどうも」


「何。誰か来る予定だったの?」


「……いいや」



本城さんが来るはずなんだけど。


それを言うと、本城さんが来るまでいるかもしれない。



兄貴と本城さん、仲良さそうだし。


素っ気なく返して、俺のまわりを動き回る兄貴を視界から外して苦笑いしながら俺たちの様子を見ていた……レイコさんの方へ。




休みだと言った兄貴とは違いレイコさんは仕事があるのだろう。



白いスーツを纏ったレイコさんは、仕事モードだった。



というか、プライベートの格好を見たことは無い、か。