でも、今目の前にいる涙は、もう言ってくれないだろう。 「えっ?何?」 あたしを不思議そうに見つめる涙に、聞き返す。 目の前に“今”の涙がいるのに、つい“昔”の涙を思い出して、話を聞いてなかった……。 「だから、向日葵。向日葵が良いな」 今度買ってきてくれる花。そう付け加えた彼。 「無理だよ。季節的にももう売ってないと思う……」 花屋さんでも、向日葵は見かけなかったと思うし……。 「そうだよなー。残念」 「他に希望があったら買ってくるよ?」