生きているなら、誰もが一度は通らなければならない道がある。



~思春期~



心の成長に伴い、体も大人になる準備をし始め、戸惑いを覚える時期でもある。



男はあご髭がうっすらはえ、背が伸び、全体的に筋肉をおびてくる。



性的欲求もグンと強くなり、自慰行為で己の欲求を満たしては、興奮の中、快楽を経験する。



まさに女を守る為生まれてきたようながっちりとした体つきに、眩しささえ感じてしまう。



俺は男。



俺は男。



俺は



男…



俺は男だから、そうなるのが当たり前なんだって思ってた。



そうなるのが必然なんだと思ってた。



なのに、俺の華奢でしなやかな体はいう事をきいてはくれなかったんだ。



胸が徐々に膨らみ



下半身からは意味ありげに、鮮血が流れ落ちる。



あげくの果て、全身が丸みをおびやがった。



ーーなんだよこの体は。俺は男だ!誰も見るな!こんな俺を頼むから見ないでくれ!



人目を気にし、深くうつむき歩いては、何度そう願い続けたかわからない。



何度悔しみの涙を流したかさえもわからない。



誰にも伝わらないこの思い。



どうしたらいいのか、自分で自分をもて余した思春期は幕をあける…