「じゃあ、俺の分もよろしくな。
俺は何でもいいから、適当に選んできてくれ。
変な商品でも俺は大歓迎だ
。レミはどうする?」

「リョーマと同じのがいいな。」

「そうか。
じゃあ、光太郎、よろしく。」


リョーマはそう言って、自分の財布から小銭を取り出し、僕に渡した。

ひとり分にしては、多かった。

レミの分は奢るようである。

いや、それにしても多い。

僕が不思議そうな顔をすると、質問する前にリョーマが答えた。


「お前の分も奢るよ。
和也の分はなしだ。
まあ、あいつは、遅れた罰だな。」

僕は、少し笑った。
「ありがと。じゃあ、行ってくる。」

受け取ったお金を自分の財布に入れると、リョーマとレミの座っているベンチを後にした。

リョーマはいいやつだと思った。

いつもだったら、「俺も一緒に行く。」と言って付いて来そうだが、今日は僕の気持ちを察して、あえてそうしなかったのだろう。

レミがリョーマを好きなのも分かるな、と思った。

顔も格好いいし、性格もいい、成績は、学校が違うので詳しくは知らないが、いい方であるようだ。

非の打ちどころがない。

学校が違う僕と、リョーマとレミが出会ったのは、和也によるものだった。

和也と彼らが出会ったわけについては何も知らない。

ある日和也の家に遊びに行ったとき、彼らはいた。和也は彼らのことをただ、
「リョーマとレミだ。」

という風にだけ紹介した。

リョーマが「よろしく。」と手を差し伸べてきたので握手をした。

それだけだった。

だから僕は彼らの苗字や、彼らの名前を漢字で書くとどうなるかを知らない。

聞けば教えてくれるだろうが、聞く機会がなかったし、別に聞く必要もないと思う。

それから僕たちは、よく遊ぶようになった。

内容はいつもゲームだ。四人の中では僕が一番下手だった。

ほとんど僕の負けだったが、とても楽しかった。僕は彼らが好きだ。