「遅いなぁ。」

僕たちは人を待っていた。

公園の目の前にあるベンチ、僕たちはここに集まる約束をしていた。

今日は平日だが今は夏休みなので、公園では何人かの子供たちが遊んでいた。

「もう昼だから、寝坊なんてことはないよな。」

 一緒に待っていたリョーマが答えた。リョーマは活発で、髪形や服装にも気を配っている、好青年という感じのやつだ。

「でも和也のことだから、ありえなくもないんじゃない?
夜遅くまでゲームに熱中してて昼になってから起きる、とかなら和也には考えられるし。」

リョーマの傍らにいた少女、レミが言う。

彼女もリョーマと同じような人種で、おしゃれな少女だ。

今日、待ち合わせをしていたのは、この二人と、僕、そして和也の四人である。

レミの意見はまっとうだった。

和也の幼馴染である僕からしても、それは考えられることだった。

和也は年中、ゲームばかりしている。

今日予定があると分かっていても、彼なら、する。

和也以外の三人が揃ってから、三十分程たっていた。

僕はそろそろ嫌になってきた。

それは単純に、待たされているから、という理由からだけではなかった。

この、三人でいるのが嫌だった。

彼らが嫌い、というわけではない。

むしろ好きだ。彼らと話しているととても楽しい。

だけどそれは一対一での話で、リョーマとレミ二人相手に僕一人となると、嫌だった。

疎外感を感じていた。

それはリョーマとレミが付き合っているからだ。

カップルの間に一人だけで入り込むのは気が引ける。

それに、おしゃれな二人に対し、僕は適当(マイナスの意味)な服装で、ジーンズなんかは、もはや丈が足りなくなっている。

三人の中で確実に僕は浮いているのだ。和也が入るといい。

彼は僕と同じタイプの人間だし。
だからはやく来てほしかった。
さっきの呟きはそういう気持ちが原因だった。

僕は、ベンチから立ち上がり、
「のどが渇いたから何か買ってくるよ。」
と言った。