「んじゃ、うちは先に行ってるから」
「へ?」
私が左足の靴紐を結ぼうと手をかけた瞬間
真穂はニヤリとしてつぶやいた
「ちょ、ちょっとだけ待っててよ!」
「だ~め!愛梨が最後じゃなきゃ意味ないんだって」
真穂はワケのわからない理屈を言う
「愛梨が最後に出てくれば、秋兄と話せるじゃない!」
「い、いいってば!」
私の必死の抵抗もむなしく『頑張れ~』と小さくささやいて、真穂は部屋から出て行った
私はできるだけ早く出ようとしたのに、
焦れば焦るほど上手く靴紐が結べず、つくづく不器用だなと感じた
メニュー