何時だってそう…、どれほど悩んでいたり、出口の見えない地道な作業が続いても。
彼の発する一言は何かしらの糸口に繋がっていて、そして私の心を安らげてくれる。
だからこそ、修平の持つ抜群の仕事センスは人を惹きつけて止まないのよね・・・
「取り敢えず、これで真帆の担当する仕事が一段落したし。
今度の出張の方を早めて、今月中にしようかと思う」
「ええ!?しゅ、修平さんの方は…」
突然の提案に大きな声を上げて驚きつつも、やはり気になるのは彼のスケジュール。
試作部を統括する日本支社の取締役として、本当に多忙すぎる日々を心配する私。
「あぁ、俺の事なら心配無いよ。
試作部からデータをPCへ転送して貰えば良いし、緊急時はWEBで対処するから。
他にお気に召さない事でもあるかな、…真帆ちゃん?」
「・・・いいえ」
彼なら当然の算段というか…、もう用意周到すぎて何も言えなくなるじゃない…。
「まぁ、いま危惧すべきは、目の前で不安そうな子かな?」
「…イジワル――」
「フッ、それは嬉しいな」
そうしてスッと、チェアから立ち上がった修平が、私をギュッと優しく抱き寄せた。
悟られまいと気をつければバレる始末だけれど…、彼の腕の中は温かくて抜け出せない。
「修平が甘やかすから…」
「もちろん…、大切な“解語の花”には愛情が欠かせないだろ」
「っ、んっ・・・」
どれほど大切にされているか計り知れない中で、降り注ぐキスにただ身を預けていた…。

