エリートな貴方との軌跡



鈍く光る間接照明の中で、ダークグレイの瞳と合致する度に思った事はひとつ。



いま感じている温もりを確かに、修平に思いの丈をぶつけなきゃダメと…――




「はい、…大丈夫か?」


「うん、ありがと」


身体に残る気だるさで起き上がれない私を、彼はジェントルマンな気質から。



寝室にある小型冷蔵庫に入っていた、ミネラルウォーターを差し出してくれる。



よく分からないほど、いつになく激しい修平に溺れてただ身を任せていた私…。



カラカラに乾いた喉を潤したくて、それぞれキーンと冷えたボトルに口をつけた。



火照った体をトーンダウンさせるには、程よいひんやり感が心地良さを誘って。



こうしてベッドの中で2人きりで過ごせる時間は、至上のご褒美だね…――




「それで、話だけど――」


「う、うん…」


“あとで”の言葉に覚悟はしていたけれど、やっぱりドキリとするのが常だと思う。



ジッとこちらを見据える瞳の色も、先ほどの熱を消失しているから緊張感が増す…。




「今度の出張…、真帆も一緒に行かないか?」


「は…、えぇ!?」


思わぬ提示をされた私は、ムードを立つほどの素っ頓狂な声を上げてしまったのに。




「大切な“解語の花”を、一目見たいようだしな…」


フッと綺麗に一笑した彼の言葉を探りたくても、エリートの思考回路は読めない・・・