恥ずかしながら…、修平に抱え上げられた事は、もう数知れないけれど。
いつもとは違う強引さが際立つ行動に、ただただ驚きを隠せないでいる。
その間にも私を抱えたまま靴を脱ぐと、スタスタと玄関から脱してしまう彼…。
「ちょっ、下ろして…!」
此処でようやく声を発した私は、無言に徹する修平の顔を間近で見上げると。
ぶらんと宙を泳ぐ足をバタつかせて、パンプスも履いている事を喚起を促した。
ソレでもなお彼の耳には届いてくれないらしく、バタバタと両足を動かしつつ。
「修平ってば…!、しゅう、んっ…!」
何度も、何度も…、一旦ストップをかける為に彼の名を呼び続けていれば。
ようやくピタリと立ち止まってくれた瞬間、またしても唇を塞がれてしまう…。
「下ろして欲しいなら、今すぐ此処でするけど?」
「っ…、しゅ、へい?」
バタバタ忙しない両足の動きは止まり、同時に合致しているダークグレイの瞳。
至近距離でジッと捉えられては逸らせる訳もなくて、私の瞳は彼を映すだけで。
投げ掛けられた言葉も、無言の時間をさらに長引かせるモノなのに…――
「俺も、まだまだガキだな・・・
真帆の事には、どうしても余裕が無くなる――…」
「・・・ッ」
すると溜め息をついたあとで、フッと自嘲笑いを浮かべる修平に息を呑んだ…。

