そんな私の許へやって来ると、髪を撫でつつお得意のキラースマイルを見せて。



「料理となれば、まずは下ごしらえが重要だな…」


「え、どういう…」


「此処は俺に任せなさいって、言ってみたり?」


「はぁ・・・」


何処か楽しんでいるかのような松岡さんは、一体何を考えているのか…――



事訳は分からなくても、これまで溜めていたモノを吐き出させてくれたから。



こうして信頼のおける上司や、パワー溢れる後輩がいるから頑張れるね・・・





「吉川さん、今よろしいですか?」


「えぇ、どうしたの?」


解決には至らなくても、話を聞いて貰えた事で身体の力がすっかり抜けた私。



隣席の岩田くんから話し掛けられると、いつも通りの笑顔が自然と出ていて。



スマイルキラーの言動が齎す絶大なる安心感に、感謝をしなければならない…。




するとコツコツと独特な革靴音が近くで響いて、そのままピタリと鳴り止んだ。



ふわりと漂ってきた爽やかな香りへ誘われるように、後ろを振り返ってみれば。




「話し中のところに申し訳無いが・・・

吉川さん、今すぐA会議室へ来て欲しい――」


ソレは何処か訝しげな表情を見せて、私の肩に手を置く修平だった・・・