エリートな貴方との軌跡



修平や松岡さんとは違うタイプのエリートだからこそ、ソレが怖いと思う。



いくら気に病んでも仕方が無い…、そう丸め込めれば良いのに…――




「ねぇねぇ、ソッチって楽しい?」


「楽しいだけが仕事じゃないが…、性に合ってるよ」


フッと一笑して返す修平の横顔に、ホッとしながらも笑えない自分がいた。




「よく言うなー、真帆ちゃんの為に戻ったクセに」


「さぁな・・・」


飄々とした2人の態度に隠されたモノが、この瞬間は読み取れてしまうから。




「真帆ちゃん、愛されてるねぇ?」


「…っ、い、え…」


まるで横槍をさすような口ぶりのチーフの言葉は、ズシリと重く圧し掛かる。



今はブレイクタイムなのだと、自分を宥める事しか出来ないほどに・・・




『あのさぁ、このままで良いと思ってる?』


今回の案件中に、チーフ直々に掛かって来た電話での冒頭のお尋ね。



ソレが何の事かを悟るのは、散々に重箱の隅をつつかれたあとだった。



突きつけられた“お伺い”と言う名の、強引すぎる誘導尋問だと…――




確かにその通りかもしれない…、けれど“この状態”はダメなの…?