どうして、このタイミングで涙なんて…――
「・・・っ」
泣きたくなんて無いと思うのに、生理的に流れる涙に嫌気がさす。
「だから日本の道理って、面倒なんだよなぁ」
「そう言うオマエは、立派な日本人のクセに・・・
摂理に則って日本は成長した…、違うか?」
「言い返せば…、“人の善さが仇となった”のが今の日本だろ?
ついでに修ちゃんこそ、半分はコッチの人間なのにねぇ」
「まぁ、言われればそうだが…」
松岡さんを挟んで座る修平は、大神チーフとの別件の話に夢中らしい。
慌てて頬と瞳を拭った私の変化に、幸いにも気づく事は無かったけれど。
大きな身体を盾にして匿ってくれていた、スマイルキラーのお陰だね…。
「もう大丈夫です、すみません…」
アレからずっと窺っているスマイルキラーに、ようやく笑い返す事が出来て。
松岡さんにひとつ頷くと、WEBを通じて会話を続ける彼らに眼を向けた…。
外見は優しくて大らかな雰囲気を纏った、朗らかな印象を受けるヒト。
だけれど先日の一件で、その考えはいとも簡単に払拭させられてしまった。
修平から凄い人だと聞いてたのに…、何処かで油断していたのかもしれない。
エリート揃いの本社において、一目置かれる大神チーフのコトを・・・

