エリートな貴方との軌跡



周りと同じように私も彼の表情に、ホッとした内のひとりなのだけれど。



柔和なようでいて威圧感を備えた彼には、気を抜く暇は見つからない…。




「担当者同士の連絡も密に行ってたし・・・

互いに納得した物が出来れば、俺は何も言う事が無いなぁー」


「ありがとうございます」


大神チーフと修平の間で交わされるやり取りに、会議の面々はただ見守るだけ。



表立った発言の中に隠されたモノを、私たちは読み取れないから・・・




「さぁて、これ以上の談義は時間のムダムダ!

別口の話がありますので、ソチラの“担当者さん以外”は対席して貰えますか?」


彼の一声で双方の出席者は、ゾロゾロと会議室から退出して行く。



担当者以外と言われてしまい、必然的に私と松岡さんは動けなくなる。



南国ムード漂う褐色肌の難解エリートに、ニコニコ笑い掛けられてはなお…――




「ハハッ、そんなに固まらないでよ。

ていうか…、何で修ちゃんまで残ってんの?」


私たちから視線を外すと、ワザと溜め息をついて修平に話し掛けた彼。




「担当者のカテゴライズなら、“総括者”も組み込まれるだろ?」


「えー、ソッチの2人と仲良くしたかったのにぃ」


「っ・・・」


「仲良くするのは、松岡だけにしろ――」


WEB会議中の時とは違い、よりナチュラルでフランクに会話をしているけれど。



ほんの一瞬の隙に見せた表情が、私から言葉を失わせていくの・・・