エリートな貴方との軌跡



私はまだまだ管理職としては力不足で、反省ばかりの毎日だけれど。



嘆くだけなら誰でも出来る…、だけれど今すべきは目の前の問題を解決するコトで。



与えて貰えたチャンスを活かすも殺すも、すべては私次第だから・・・






「…ご覧のような試行錯誤を重ねた結果、この比率が最適との見解に至りました。

以上で、ご報告を終えさせて頂きます」


PCとプロジェクタを介して、雄弁していた松岡さんのプレゼンは滞りなく終った。




本社とのWEB会議を任された、担当である松岡さんと私が議事進行している現在。



トラブル処理のあとで、抱えている案件を進めながら庶務を済ませていると。



あっという間に午後はやって来てしまって、今の状況に至るのだ・・・





「…如何でしょうか、大神チーフ」


試作部の総括者であり、会議に出席している修平が口火を切ってくれれば。




「ふーん…、イイんじゃない?」


大神チーフと呼ばれたその人が、修平の方を見ながらようやく口を開いた。




こうしてお互いの場で流れる沈黙は、もちろんこの人の反応を待つ為で。



飄々としながら、クスリと笑った彼の反応に一堂がホッとしてしまう…。



未だに本性も何も掴めない、超難解のエリートな彼に…――