知識はあるのに抜けているというか…、不用意に“何かのモト”を引き出すから。
折角の素質よりソチラの方が際立っていて、本当に残念でならないのよね・・・
「それで…、以前の材質を用いてサンプルを製作中なのですが…」
未だトラブル対応に不慣れな岩田くんなりに、上出来な判断をしたようで。
言葉を止めるとスマイルキラーに、“続きの返答”を求めて様子伺いしている。
「あー、詳しい事は向こうで聞こうか…――
真帆ちゃん、悪いが…」
飄々としているようでいて、少しばかり苦笑を浮かべている松岡さん。
「いえ、私も一緒に行きます!
岩田くん、資料と報告書を持って来てくれる?」
「はい、すぐに資料室に行ってきます!」
指示を流した私にひとつ頷くと、バタバタとまた足音を立てて向かった岩田くん…。
「あーあ…、一難去ってまた一難だな?」
走り去った彼の姿を見送りながら、フーッと一呼吸置いてニヤリと一笑してくるから。
「…前のトラブル処理後に、私がそう言ったら・・・
“それが試作部だ!”って、自信アリ気に笑ったのは誰でした?」
「えー…、黒岩さん?」
「もぉ、よく言いますね」
少しばかりネクタイを緩めて、臨戦態勢に入ったスマイルキラーに笑い返した。
目の前の壁が高いほどに燃える彼こそ、“修平化”しているのにね…?

