口に出す前からバレているのも、如何なモノかと思ってしまうけれども。
こちらを捉える松岡さんに、コクンと頷いて肯定する自分が情けない…。
「何か言われた?」
コトンと、飲み干したマグカップをデスクに置いて、こちらを窺ってくる彼。
「…えー、そんな事は無いんですけど…」
「けど、何?」
「うーん、大神さんは難しい方だなぁって…」
法廷での尋問にも似たプッシュに、言葉を濁す事で回避しよう答えた私に対し。
「そう思うのは、“真帆ちゃんにとって難しい事”を言われたからだろ?」
「・・・・・」
ジーッと逃げようも無い眼差しと、誤魔化す事の出来ない言葉を返されてしまう。
このまま隠し通せるほど、松岡さんは生易しい人柄じゃない・・・
「でも…、仕方無い事なのかなぁって…」
少しばかり目を伏せて、ふぅ…と自嘲した笑いを浮かべてしまった私。
「ん、何が――?」
話し始めるサインを見逃さないのも、流石のスマイルキラーだと思う。
試作部随一のクセ者と称される彼に、取り繕いなど出来ないのにね?
遠回しに探りを入れるつもりが、自身を嵌めてしまう愚かさが露呈しただけだ…。

