エリートな貴方との軌跡



早朝であろうとも、試作部内は相変わらずバタバタしているけど。



入口から一番奥に面した構造課には、今は誰もいない状況のせいか。



残念な事に今日も私は、孤立無援状態じゃない・・・




「構ってって…、ヘンな事ばかり聞かれて構えません…!」


カチカチと、マウスのクリック音を少しばかり強めて、メールチェックを終えると。



メールBOXのウィンドウを閉じたあと、ニヤニヤ笑う彼を溜め息をついて見た。




「その声からして、明らかに冷たいんだけど」


「違いますよ…、それにシカトじゃないですからね?

コメント不要な発言をスルーしただけですもん」


「どっちにしても虐げられてるし…」


ジワリジワリと距離を縮めて攻撃し続ける、スマイルキラーに呆れてしまう…。




「もうっ、違いますー!

これでも一応、松岡さんの話に耳を傾けているんですから。

答えなくてイイ話を分別して…ほらっ、これこそ効率アップ?」


“一応”をつけたトコロが、明らかに本音を晒してしまったけれど。



不適切発言を自分で取り繕いながら、アハハ…と自嘲笑いを浮かべた私。




「うわっ、最近ますます黒岩さん化してるよ…。

ていうより、元から“似た者同士”だったか――」


「なっ、それこそどういう意味ですか!?」


「さぁて…、しごと、しごと!

“課外授業”については、黒岩さんに聞こうかな…」


怒り始めた為に標的を変えたスマイルキラーは、ニヤリとほくそ笑んだ・・・